2012年11月23日

歴史街道

先日松代を訪れた際、真田幸村に較べて兄の信之の知名度が低いということを嘆かれていた市川さんから、最近「歴史街道」という雑誌が信之を取り上げているというお話を伺った。昨日その本を買い求めて、店番をしながら拾い読みした。
「歴史街道」という雑誌を手にするのは久しぶりのことである。創刊が昭和63年とある。私が出版社でいわゆる「歴史読み物」と呼ばれる本をいくつか編集していたころのことである。当時通俗的な歴史雑誌としては「歴史読本」と「歴史と旅」というのが双璧で、その市場にPHPが鳴り物入りで参入したのが「歴史街道」であった。
当時のものより若い読者を意識した内容になり、学研の赤い表紙のムックに内容がよく似ている。総力特集「真田信之と幸村」とはいえ、信之中心の構成であった。幸村をつけたのは営業政策からだろう。
私も「松代藩」の本の中では信之のことは書いたが、それに比しても「歴史街道」は躍動的で読ませる内容で、執筆者の方々の筆力はさすがである。
何といっても信之とそしてその後の真田家の運命を決めたのは、下野犬伏における親子・兄弟の別れであった。私は成り行き上と思っているのだが、「歴史街道」の筆者は3人それぞれの胸の内を忖度して書かれていた。池波正太郎の「真田太平記」もそれぞれの胸の内を感動的に描いていたが、こちらは小説である。
歴史とフィクションの境界というのは、NHKの大河ドラマなどを見ていてもいつも気になるところだが、この雑誌を見ていてもどうもその辺が気になった。



Posted by 南宜堂 at 00:11│Comments(0)
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